先日母校の大学に就職のあいさつにうかがった。国立大学もついに独立法人化の波を受けて生き残り競争に必死である。もともと、理系の職人養成学校的色彩の濃かったわが母校にも、さまざまな変化を見ることが出来た。

学者は専門馬鹿で使い物にならないと主張し続けていたある名物教授は10年前から早々と設計の教育に見切りを付け、発注者側=供給者側に送り込む人材を教育すべく新学科を立ち上げた。そこでは、主張どおり、先生として学者は一切登用せず、民間の一戦で働く技術者や経営者を講師として採用し、現場での生の声を教育現場に注入している。まじめな学生は殺人的カリキュラムを次々とこなし、プロをも凌駕するプレゼンテーションテクニックを身に付け、校内にセットされた最先端の情報機器を我が物のように使いこなし、日々仲間達や先生に自身の成果を発表し評価を受けている。教室のあちこちで、自主的に繰り広げられているこの光景に愕然とした。

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また数年前まで専門馬鹿の典型と思われていた気むずかしそうな教授は、3年前にまちづくりの方面に転じ、ワークショップに取り組むようになってから、地域の人たちと共同で行うプロジェクトに学生を巻き込み、机上の学問でなく、地域の人たちの生の声を拾い上げ統合していく現場密着型の教育を展開し、外に向かって開いていく人間性の評価の方に重きをおくようになったという。頭でっかちの知識人でなく、いかなる場面でも実践的に対応できる人材はいらないかと企業に売り込み、なんで屋に就職するにはどうしたらよいかとまで我々に問い掛けてきた。これまた驚くべき変化である。

カチコチの知識と固定観念を植え付けても社会の役に立たないといち早く気付いた教育者達のさまざまな試みを見ると、人々の欠乏に応える供給者の育成に時代の流れはまさに動いていると感じることが出来る。なかなか有意義な訪問であった。
 
高梨俊寛