原発、「負の世界遺産」と「負の人材たち」、 そして、怒りを語ることの意味 - 鈴木耕(1)の続き

***以下引用***
 しかも「千年に一度の津波」とは、まるで事実に反している。岩手県宮古市田老地区では38メートルの津波が観測されたというが、これは実は、1896年の「明治三陸地震」のときの大津波と同程度なのだ。「千年に一度」どころか、たった115年前にも記録されていたのだ。不勉強もはなはだしい。むろん、こんな発言は財界人として恥ずべきことだが、学者と称する連中も「今回の地震と津波は想定外」を連発した。「想定外」が時ならぬ流行語となった。「想定外を想定することこそが学問ではないか」と、そんな学者(と称する人)たちを批判するのはもっともだが、実は今回の災害は「想定外」などではなかったのだ。「想定内」にあることを知りながら、「想定外」として対策を怠ったのである。これはまさに犯罪だ。
にほんブログ村 政治ブログ 世直し・社会変革へ
日本のすべての原発は海岸沿いにある。最大級の津波は「想定内」でなければならなかった。実はたった百年余り前に、その実例があったのだ。しかし、学者(と称する人)たちはそれを無視した。「想定外」とした。結果、何が起きたか!? そして、これから何が起きるか!?静岡県御前崎市の浜岡原発は、いわゆる「東海大地震」の震源域の真上にある。この原発に対する津波防護策は、たった7メートルの砂丘でしかない。今回の事故を受けて、浜岡原発を運転する中部電力は「12メートルの塀を新たに設置する」などと発表したけれど、繰り返すが、今回は最大で38メートルの津波が襲ったのだ。福島原発にも、推定で14メートルをはるかに超える津波が押し寄せた。7メートルの砂丘と12メートルの塀(堤防ではなく「塀」なのだ)で、どう防ぐというのか?
その中部電力の発表を真に受けて、「浜岡原発は安全だ」という発言を繰り返すのが、静岡選出の自民党・片山さつき議員だ。12メートルの「塀」で、ほんとうに巨大津波が防げると思っているとしたら、この人の頭のネジは確実に外れている。これが政治家だ。

 とにかく、東海地震が来る前に、せめて、浜岡原発は止めなければならない。福島原発による連日の高濃度放射性物質の海洋への垂れ流しや、風での飛散。それらによる海産物や野菜の汚染、人体への影響。ことに乳幼児を含む子どもたち、妊娠中の若い母親たちの不安。それらの報道を連日のように目にしながら、なおも浜岡原発を容認する人たち。「原発がなければどう生活するのか」などと開き直る人たちが多数なのか。もしそれがこの国の進み行きであるとするなら、僕は自分の国に絶望する…。

 なによりも腹立たしいのは、御用学者(というより幇間)たち。特に、膨大な原発マネーが「研究費」の名目で流れ込んでいる東大、京大、大阪大などに棲息する学者(と称する人)たち。こういう人たちについては、あるリストがネット上で閲覧できる。それを参照して欲しい。テレビで、妙に歯切れよく楽観論を述べる学者たちのほとんどが、このリストに名前が出ている。よーく覚えておく。リンク
 原子力安全・保安院と、原子力安全委員会という組織がある。どちらも、デタラメ極まりないことが、今回の「原発震災」で明らかになった。これらや、原発の片棒を担いで電力会社のCMに出まくった芸能人や文化人(って何だ)については、次回に譲ろう。さすがに長くなりすぎた。
 テレビをつければ「日本人は強い」とか「ひとりじゃない、みんながついている」とかのCMがシツコイほど流れる。それはいい。しかし、それだけでいいのだろうか。

 妙な自粛ムードの中、チャリティ・イベントだけは大流行。4月1~3日の3日間、ジャーニーズ事務所のタレントたちのチャリティ・イベントには約40万人のファンが詰めかけた。そこでは「みんなで助け合いましょう」との大合唱。巨額の義捐金が集まったという。それはそれで素晴らしいことだと思う。しかし、それだけでいいのか。影響力を持つ芸能人は、もっとはっきりしたメッセージを、自らの言葉で発信するべきではないのか。俳優の西田敏行さん(福島県郡山市出身)は、朝日新聞(4月4日付)で、次のように語っている。「今度だけは怒りを」というタイトルだ。

(略)地震と津波があって、福島第一原発のことがあるから、いたたまれない気持ちでいっぱいでね。我慢強い人が多い福島ですけど、今度だけは、ね。東京電力や原発を進めてきた政治家たちに怒りの声を張り上げたい。あの原発がつくる電力は地元で使うものではなく、首都圏のためでした。なのに受け入れてきた。安全と説かれてきましたが、今回のことはきちんと「想定」されてきたのでしょうか。今、20キロ圏内の人は、行方の分からない家族を自ら捜しに行くこともできない。(略)
 もちろん、命をかけて現場で働いている方々には感謝しています。こんなことを言ったから事態が早く収まるわけもない。でも、故郷のことは今、ちょっと落ち着いて語れないんです。

 西田さんは「怒り」を語った。真っ当な怒りだと思う。「東京電力や原発を進めてきた政治家たち」に、非常時を言い訳に責任論を回避させてはいけない。きちんと、正当な怒りをぶつけなければならない。そうでなければ、戦争責任をうやむやにして、戦争犯罪人が逃げ延びたような歴史がまた繰り返される。
 「歴史は繰り返される。1度目は悲劇として、2度目は喜劇として」と言ったのはマルクスだが、今回の2度目の歴史は、決して「喜劇」にはなりえない。原発が、放射能が、燻り続けている限り…。西田さんだけではない。藤波心さんという中2のアイドルが「批難覚悟で…」リンクというブログを書いて、大きな話題になっている。これは素晴らしい。自分の思いを言葉にできる世代がしっかり育っていることに、僕は感動した。藤波さんは「脱原発」を、きちんと書いている。まさに「批難覚悟」の文章だ。「冷静に議論を」とか「私は反対でも賛成でもない」と中庸を気取って教養とやらをひけらかす「大人」より、はるかにこの少女のほうが素晴らしい。僕は、そう断言する。このブログは大反響で、すでに300万ページビュー、60万人のアクセスを記録したという。むろん、「ガキのくせに」とか「わけも分からず原発を語るな」などの罵倒も殺到したというが、圧倒的に賛成の意見が多かったようだ。藤波さんはこのあと、同じブログに「パンドラの箱の『希望』」という文章を書いて、それらの反響についての自分の気持ちを、きちんと説明している。

 藤波さんのような中2のアイドルでさえ(そう、でさえ、なのだ)、はっきりと自分の考えを主張する。大人である芸能人たちが、なぜ自らの意見を主張せず、「きみはひとりじゃない」だの「日本は強い国」だのと言うだけなのか。あのACのCMに出ているタレントの中には、かつて東京電力のCMに出演していた人物さえいる。ああ、恥というものは…。
***以上引用終わり***


mosimobox