以下引用(リンク)です。

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さて今回は、これまでの新聞の創生期から一気に現代に飛んで、新聞業界を俯瞰してみましょう。

まず最近社会を賑わせた新聞業界のBIGニュースといえば、2013年8月に起きたアマゾンのジェフ・ベゾス氏による「ワシントン・ポスト紙」買収ではないでしょうか。実は他にもウォールストリートジャーナルや、ロサンジェルスタイムズなどの有力新聞社も既に経営不振により身売り経験があります。

これに対して、日本の新聞社はどうでしょうか?

社団法人日本新聞協会が2014年12月29日に最新の新聞発行部数を発表しましたが、前年度比164万部(3.48%)の減少となり、15年連続の減少傾向と日本でも低迷が続いています。しかし日本では新聞社が吸収合併されたり、倒産したというニュースは余りない。これは新聞が単なる情報紙に留まらない日本の新聞業界の持つ大きな特徴が絡んでいるのです。これをnippon.com(日本の新聞の行方:膨大な「紙」が支えるマンモス総合産業:リンク)の記事を参考にして追求していきます。
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例えば米国の新聞社では全体収入の8割を広告収入が占めますが、日本の新聞社の場合はその割合は3割ほどです。実はこの間の収入減少は、この広告収入の減少が主要因なのです。これは、新聞広告の効果が薄らいでいることを如実に表しており、消費の中心層であるはずの若者の新聞離れからネットへの流れとも合致します。

一方で日本の新聞社の売上の6割近くは販売(大半が定期購読)収入で、リーマンショックなどの経済不況により広告収入の減少はありますが、購買数はそこまでの落ち込みがないのです。そしてこの販売収入≒購買数を支えるのが、郵便制度を下地にして始まった戸別宅配販売制度であり、それを支えたのが地域の新聞販売所なのです。

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 新聞宅配網は、全国にある約2万件近い新聞販売所とともに整備されている。多くの販売所店主たちは、各自、特定のブランドの新聞と専属契約をして、自分の「テリトリー」を決めて出店し、なるべく多くの定期購読をとりつけることに腐心してきた。
 また、新聞販売以外に、折込広告という新聞にはさむ大量のチラシの頒布を請け負うことで副収入を膨らませ、契約する新聞社と一心同体となって非常に効率よく新聞販売を行ってきた。(「日本の新聞の行方」より)
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この結果として、かつて日本の家庭では、朝起きるとポストに届く新聞を、お父さんが朝ごはん前に読むという光景が、一般家庭で見られていました。朝ごはんと新聞はセットだったのです。

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 一方、日本の新聞は欧州のような政党新聞に出自をもつ政治色の強い「意見紙」という特徴が薄い。多くの場合、各世帯は「うちは代々この新聞だから」「近所の知り合いが専売店を経営しているから」など、人間関係で購読が続いている。
 さらに、日本人にとって「新聞」は新聞紙だけでは終わらない。例えば、かつて、日本には「新聞少年」と呼ばれる、新聞販売所に住み込みながら学校に通う人たちが大勢いた。彼・彼女たちは、高等教育を受けるために都市部に出て暮らす地方出身の学生たちが中心で、新聞社は彼らの学費を負担し、生活費を支払い、住む場所を与えるかわりに、新聞配達をさせていた。今日50歳代以上の、特に地方出身者たちにとって、新聞産業は都会での夢をかなえる若者の味方というイメージが強かった。(「日本の新聞の行方」より)
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私の友人も中学生時代に、欲しいものを買う為に数ヶ月新聞配達のバイトをしていました。今や若者が想定する“バイト”のイメージの中に新聞配達など微塵も入ってもいないでしょう。しかし確かに「新聞配達」という仕事は、日本の生活の基底部を支えていた時期がありました。

そしてその流れを今も引き継いでいる動きがあります。現在、新聞販売所では、一人暮らしのお年寄りの生活のパトロールや車いすの貸し出し、生活支援する業務を請け負うサービス等を始めているところもあります。新聞社自身が「志」を失くしても、新聞が日本社会に定着し続けたのは、地域に密着した、この新聞販売所の存在が大きいのです。

したがってこれからの新聞を考える場合には、“新聞紙”という媒体だけを対象とするのではなく、むしろ新聞販売所という地域ネットワークの拠点をも根こそぎ捉えた業態として展開していく方向に、新たな可能性が開かれているのだと考えます。



小林雅志