ワセダクロニクルは、早稲田大学ジャーナリズム研究所(所長:花田達朗)のもとに作られた非営利の調査報道メディア。
その最初の記事を以下引き続き紹介します。 リンク

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【動画】原寿雄さんインタビュー(元社団共同編集主幹・元KK共同社長)
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『共同通信社三十五年』(1981年、458ページ)にはKK共同が設立されたことについて「社団共同と同じ社名は紛らわしいとの意見もあったが、両社(社団共同とKK共同)は表裏一体の関係であり、また社員の士気上からも望ましいとして理事会の承認が得られた」[注29]と記されている。

記事はどのように書かれ、配信されていったのかーー。私たちは記事を書いた記者に会った。

「ズルズルっと」

2017年1月15日の午後4時、西武新宿線、とある駅近くにある喫茶店で、その記事を書いた社団共同の編集委員(65)に会った。長年、原子力、医学、バイオなど、科学系の記事を幅広く書いてきた記者[注30]だ。
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「以前、お書きになった記事のことでお話をうかがえませんか」

テーブルに、配信の記録が記載されたA4判の紙(出力モニター)を置いた。1行11文字で53行。地方紙への配信時間は「2013年5月29日12時22分32秒」。筆者の欄に彼の名前がある。

この記事に対して、電通PRから配信後に「媒体費」の名目で55万円がKK共同に支払われていたことを伝え、電通側の内部資料を示した。記事にカネが絡んでいる営業案件だったことを知っていたか、それを彼に尋ねた。

「この記事が営業案件であるという認識を持っていましたか」

「持っていたといわざるを得ないでしょうね」

再度念を押した。彼は「全然知らないとかなんとかっていうことはないですね」と答えた。

編集委員によると、記事を書いた経緯は以下のようなことだった。

――KK共同の医療情報センター長が、抗凝固薬の服用状況について調査した「健康日本21推進フォーラム」の報道用資料を持ってきた。50年ぶりに抗凝固薬の新薬が相次いで登場し、「すごい競争になってた」(編集委員)時期だ。

――記事は推進フォーラムの報道用資料に基づいてそのまま書いた。脳卒中協会の山口理事長のコメントも載せたが、直接取材したわけではない。報道用資料にあったコメントを引用した。

――伝えた方がいいニュースだと判断したから書いた。

記事を書いたらカネがKKに入るという認識はあったのか?

ーーまあないということはないでしょう、おそらく。

対価が支払われる記事を書くことが、あってもいいことなのだろうか。そう尋ねると、彼は「そりゃあ、ない方がいいということになるでしょうね」と答えた。

「よくわかんないままで、ズルズルっときてるところがやっぱりあるんですよ」


 
【動画】記事を執筆した社団共同編集委員インタビュー
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報道用資料は電通グループが作っていた

編集委員は「健康日本21推進フォーラム」が作った報道用資料を下敷きにした。山口理事長のコメントの紹介も「~と話している」と書き、直接インタビューしたかのような書きぶりになっているが、報道用資料の中であらかじめ用意された山口理事長の「所感」の部分を抜粋してコメントに仕立てたという。

ただ、編集委員が知らないことがあった。

「健康日本21推進フォーラム」は、電通グループが仕切っていたのだ。しかしそのことは、ウェブページや報道用資料のどこにも書かれていない。

一体、どうなっているのだろう。

=つづく




志水満