①の続き

(以下、リンクより引用)

■コワーキングスペースにおける持続可能性の高さ
筆者はコワーキングスペースやコワーキングという働き方が、日本企業・組織の硬直化したコミュニケーションや前例主義的なビジネスの進め方に風穴を開けるのではないかという確信のもと、2012年から継続的にリサーチしてきました。思い返せば1999年の新卒入社一年目の若手社員懇談会でのこと。一期上の先輩社員が事業部長に対して「職場の閉塞感」という問題提起をしました。この言葉がずっと頭にこびりついていて、なんとかこの状況を打破したいという気持ちをずっと持ち続けています。これこそが筆者自身の働き方改革へのモチベーションであり原動力です。 とはいえ当時は20世紀から21世紀へ移り変わる時期。まだビジネスの持続可能性が高かったため、おそらくあまりこの言葉の持つ重みがしっかりと理解できていなかったのですが、その後ITの進歩やライフスタイルの変化によってビジネス環境は世界中を巻き込みながら大きく変化。多くの企業や組織において、新しい事業のアイデアの社内議論はすでにやりつくし、まさに閉塞感のある状況を迎えていると想定されます。早稲田大学ビジネススクールの入山先生が紹介しているように、新しい知と知の組み合わせであるイノベーションの源泉は「知の探索」。そのためには、今いる環境から如何に遠い場所で未知の多様性に触れていくことが必要になりますが、オフィスにはない多様性に触れられるコワーキングスペースはまさに最適な場所と言えます。会社が継続的に新しい価値を生み出していけることこそ、ビジネスの持続可能性を高めていくことにつながります。
にほんブログ村 政治ブログ 世直し・社会変革へ

そして、個人のキャリアにおいてもコワーキングスペースは有益です。人生100年といわれる時代において、初めに入社した会社のみで最後まで勤め上げる人の数も減っていくことでしょう。また企業の側においても、不確実性の高いビジネス環境においては、最後まで従業員の面倒を見きれないというケースが増えてくることも予想されます。自らのキャリアを設計し、いくつかの企業や職種を渡り歩きながら生き抜いていくことが今よりも当たり前の光景になるでしょう。コワーキングスペースでの出会いやそこで培われた信頼関係は、もしかしたら次の就職先になるかもしれないし、起業パートナーになるかもしれない。さまざまな多様性に触れておくことは、キャリアにおいてのセーフティネットにもなるはずです。 そのためにも、日本の組織人は自分とは何者かをしっかり表現できる訓練が必要でしょう。メンバーシップ制雇用の環境においては、転職をしない限りこのことをあまり意識せずともやっていけますが、コワーキングスペースでの交流は、自分の仕事やキャリアを表現しないと始まりません。自分の専門性やビジネスの概要を話すことが出来て初めて、そこで働く多様性との交流が叶うことになる。この点、オランダのコワーキングプラットフォームであるSeats2Meetの仕組みはよくできていて、自分のスキルや専門性を登録することで施設の利用ができるようになります。専門性を持った個人が交流を通じてお互いのビジネスを支えたり、助け合ったりすることで、新たな価値やビジネスの推進力を生む。こうしたことも、組織や個人の働き方の持続可能性を高めることにつながります。

■働き方改革に持続可能性という視点を
上述したSDGsの目標を読み解く中でディーセントワークという言葉が登場します。「働きがいのある人間らしい仕事」という意味のこの用語は、1999年6月にILO(国際労働)の総会に提出された事務局長報告において初めて用いられ、21世紀のILOの活動の主目標と位置付けられました。筆者はまさにこの1999年に社会人になりましたが、この言葉自体を当時の職場で聞くことは全くありませんでした。おそらく多くの日本企業において、同様な状況だと思います。もちろん世界には日本よりはるかに劣悪な環境で生き、働かざるを得ない人もいることは事実。そうした国とは根本的に違うもの、果たして日本の職場で「働きがいのある人間らしい仕事」をしている人がどれだけいるでしょうか。

自らの働き方をどうとらえ、どう変えていくのか。現代日本が抱える「働き方」という大きな議題に持続可能性という視点を持ち込みたいというのが本レポートの提案です。今の議論をさらに前進させるためにも、この視点が大きな意味を持つのではないかと強く思います。 雑誌の次号以降も引き続き、またWEBマガジンにおいても、この持続可能性の高い働き方というテーマを自分の中に軸として持ちながら、各地を見聞しながら様々な人の知に触れていきたいと考えています。

(引用終わり)




志葉楽