「ニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミットは大きな成果を出せずに閉幕した。各国の削減行動は限られ、温暖化対策の国際枠組み“パリ協定”の目標達成の難しさがあらためて露呈した」(『日経』9月25日付社説)。大手マスコミはこうした状況を憂い、国連が演出した大人たちを叱咤するスウェーデンの少女を大きくとりあげ、各国政府が脱炭素に向けて舵を切るよう論陣を張っている。それは、「人為的CO2による地球温暖化」は科学者の大多数が認めている定説であり、それに異論をとなえるものは科学を否定するものだという調子である。

以下「長周新聞」(リンク)より引用します

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国連気候変動サミット

 IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、この気候サミットにあわせて特別報告書を発表した。報告書は、このまま有効な対策を講じず温室効果ガスを排出し続ければ、今世紀末には20世紀末ごろから海面が最大1・1㍍上昇し、2300年には最大5・4㍍高まると警告している。また、巨大台風や高潮、豪雨などのリスクも増大すると並べている。
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 マスメディアは、これが公表済みの約7000の論文を基に、日本の研究者4人を含む36カ国計104人の専門家が執筆にかかわって作成されたものであり、確固とした科学的な裏付けがあることを強調している。しかし、現実には元米副大統領ゴアらが先頭に立ってIPCCが発足し「地球温暖化の脅威」をふりまいて以来、地球の気温は横ばいのままである。

 IPCCが公表した1990年8月の第一次評価報告書は、今後も温室効果ガスの規制がなければ地球の平均気温は10年間当り0・2~0・5℃上昇し、2025年までに約1℃、21世紀末までに3℃の上昇が予測されると記し、IPCC初代委員長は「2020年にはロンドンもニューヨークも水没し、北極圏のツンドラ帯は牧場になる」と予言していた。

 だがその後30年間の気温上昇は、世界のCO2排出量が中国などの工業化で激増してきたにもかかわらず0・2~0・3℃。10年間当りに換算して0・07~0・1℃である。IPCCの予測がまったくはずれていたことを示すとともに、CO2による人為的温暖化説の根拠を根底から揺るがすものだといえる。

 温暖化の横ばい自体はIPCCも認めていることであり、科学者の定説は次のようなものである。地球の気温の温暖化は、1700年ごろの寒冷期から徐除に進行してきた。しかし、IPCCがいうような二酸化炭素の排出の影響による急上昇は起こっていない。権威ある複数の機関が発表する地上気温も、衛星観測気温も横ばいのまま推移している。太陽活動の影響で寒冷化するという学説が増大している。

 ちなみに、ヒートアイランド現象(都市部での気温上昇)による暑さが続く日本においても、衛星観測による大気温は、過去35年間まったく上がっていない。

 こうしたことから、専門家の間でIPCCの内実--「科学」を標榜する政治的ロビー集団--についての研究、批判があいつぎなされてきた。

中立になり得ぬIPCC

 IPCCは1988年に世界気象機関と国連環境計画により設立された政府間組織で、もともと研究機関ではない。地球温暖化に関する評価(アセスメント)を世界に、とくに政策担当者や政治家に伝えることを目的とする広報機関である。

 深井有・中央大学名誉教授(物理学)は、『気候変動とエネルギー問題』(中公新書)で、IPCCはその活動規範として「人間が起こす気候変動(=温暖化)のリスク(=脅威)の科学面と影響、対策を考える」と謳っているように、「温暖化は人類への脅威」を大前提とする団体であることを強調している。

 IPCCの報告書は中立でなくてはならないとされている。また、内容を包括的で公正、信頼性の高いものにするために多くの国の科学者が執筆に携わり、各部会の統括責任者がとりまとめるまでには専門家による査読を何度も受けることになっている。たとえば第4次報告書(2007年)では、3000人以上の専門家の協力を得て130カ国以上の450人の科学者が執筆に携わったことが強調された。

 深井教授は、「しかし、実際には、もともと温室効果ガスによる地球温暖化を前提として作られた組織であり、科学的根拠については中立ではありえないものだった。気候変動の自然要因を認めることは、自己の存在理由を否定するから許されるものではなかった。IPCCが人為的温暖化の防止という目標に向けて一直線に走り出してブレーキが効かなくなったのは、この性格上、当然の成り行きだった」と指摘している。

 第4次報告書には、温暖化が今のまま進むとヒマラヤ氷河は2035年までには消失し、下流域は重大な水不足に陥るだろうと書かれていた。専門家ならだれでも気付く誤りが「何度も受けた」はずの査読をすり抜けて印刷された。この説の出所は、環境保護団体のパンフレットであること、ほかにも、科学的裏付けのないパンフレットからの引用が数多く発見された。

 ヒマラヤ氷河の問題では、当時のIPCC議長・パチャウリが主宰するインドのエネルギー資源研究所が「ヒマラヤ氷河の消長」をテーマにした研究に多額の研究費を受けていた。その一員の科学者は「2035年消失説が間違っていることは知っていたが、立場上いえなかった」と証言した。IPCCの統括責任者も「間違いには気付いていたが、この方がインパクトがあると思った」と語っている。

その2に続く




末廣大地