人間の知能はいかにして進化したのか? この謎を解き明かすため、考古学者たちは長年、道具や火を使用した痕跡、あるいは頭蓋骨から分かる脳の大きさの変化といった手がかりを調べてきた。

 しかし南アフリカ、ウィットウォーターズランド大学の研究グループは、私たちの祖先の知能を推測するためにまた別のユニークな方法を利用している。

 頭蓋骨の化石を調べることで、脳が機能するために必要な血液の量、すなわちエネルギーを調べることができる。ここから祖先がどのくらい物事を考えていたのか読み取る。

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◆脳の代謝率が大きいほど脳の性能が上がる
 よくある前提は、祖先の知能は脳が大きくなるにつれて向上したというものだ。もちろん間違いではない。現生の霊長類ならば、脳内の神経細胞の数はその体積におおむね比例する。
 
 また哺乳類全般の研究からは、脳の代謝率――つまりそれが機能するために必要になるエネルギー量は、大きさにほぼ比例することも明らかになっている。

 脳の情報処理を担うのは、神経細胞(ニューロン)とそれらの結合(シナプス)だ。シナプスは、コンピューターに例えればトランジスタのように情報処理を行う部位である。

 人間の脳には、800億を超えるニューロンと1000兆ものシナプスがある。それは人体のたった2パーセントを占めるに過ぎないが、消費されるエネルギーは全体の20パーセント(安静時)にも達する。

 そして、そのうちの7割は、シナプスがニューロン間で情報を伝達する神経化学物質を作り出すために使われている。

◆電気と電源ケーブル = 血液と頸動脈
 人類の祖先の脳がどのくらいのエネルギーを使用していたのか明らかにするために、『Proceedings of The Royal Society B』に掲載された今回の研究は、脳に流れる血流量に着目している。

 人間の脳は毎秒10ミリリットルの血液を必要とする。これは起きていようと寝ていようと、運動や数学をしていようとほとんど変わらない。
 
 この点に関して、脳はかなりエネルギー消費の激しいスーパーコンピューターのようなものだ。高性能のコンピューターは、その分消費する電力も多くなるし、それを供給するために太い電源ケーブルが必要になる。

 同じことが脳にも言える。認知機能が高度になるほど代謝率は上がり、太い血管でそれだけたくさんの血液を流し、酸素を供給してやらねばならない。

 脳の認知機能を司る大脳への血流は、2本の内頸動脈からやってくる。その動脈の太さは、そこを流れる血流量に関係し、それはすなわち血液が流れ着く脳が必要とする酸素の量に関係する。

◆アウストラロピテクスの脳はゴリラの半分しか血液を必要としない
 研究グループは、50本の先行研究に基づき血流量と動脈のサイズとの関係を、頭蓋骨の底にあいている穴の大きさから内頸動脈の太さを割り出した。

 さらに、現生の類人猿96種(チンパンジー、オランウータン、ゴリラなど)の頭蓋骨の穴を計測。そうしたデータを400万~200万年前に生きていたとされるアウストラロピテクスの頭蓋骨と比較した。

チンパンジーとオランウータンの脳の容積はおよそ350ミリリットル、ゴリラとアウストラロピテクスはそれよりやや大きく500ミリリットルである。

 従来の説によれば、アウストラロピテクスは他の動物よりも多少なりとも賢いはずだ。ところが、今回の研究では、アウストラロピテクスの脳の血流量は、チンパンジーやオランウータンの3分の2、ゴリラの半分程度でしかないことが判明したのだ。

 これまでアウストラロピテクスの知能は人間と類人猿の中間くらいと考えられてきたが、それが誤りである可能性が浮上したのである。

◆ヒトの脳は大きさ以上に多くの血液を必要とした
 人間とそれ以外の多くの現生霊長類の場合、内頸動脈の血流量は、脳の大きさに直接比例しているように見える。つまり、脳の大きさが2倍になれば、血流量もまた2倍になるということだ。

 これは意外なことではある。というのも、ほとんどの内臓の場合、そのサイズが大きくなっても代謝率は少しずつしか上昇しないからだ。哺乳類では、内蔵の大きさが2倍になっても、代謝率は1.7倍にしかならない。
 
 このことは、霊長類の脳の代謝強度(脳1グラムあたりのエネルギー消費量/毎秒)が、そのサイズの拡大から予測される以上に増加してきたことを物語っている。ヒト亜科だと、この増加率はさらに大きくなる。

 アウストラロピテクスとホモ・サピエンスとでは、脳の大きさにほぼ5倍の違いがあるが、血流量には9倍の開きがある。つまり我々の脳は、先祖より2倍多くのエネルギーを使っているということだ。それがシナプス活動と情報処理の増加に起因することは明らかだ。

 どの霊長類でも脳の血流量は長い間に増加したようだが、ヒト亜科の増加率は特に際立っている。こうした変化は、道具の発達や火の使用、小グループ内でのコミュニケーションと並行して生じてきた。

(引用おわり)


井垣義稀
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■「快適に眠るには?」「幸せってなに?」「学校って必要?」
現在、授業のメインとなっているのは、生徒自身が行うワークの時間です。その中でも、「問い」をつくることに焦点を当てています。

たとえば、「快適に眠るには?」という問いがなければ「布団」は生まれなかったし、「遠くまで楽に移動するには?」という問いがなければ「車」は生まれなかったと思います。

”いま身の回りにあるものって、すべて誰かの「問い」から生まれています。問いをつくることは、自分の内面を深堀りしていく作業でもあります。子どもには難しいんじゃないか? と言われることもありますが、全然。生徒が自分の考えを書いたものには大人顔負けのものもたくさんありますし、生徒の成長のためには子どもを子ども扱いしないことの大切なんだなと実感しています。”

授業では、「ハワイにある立ち入り禁止の島」や「富裕層が独立したまち」など、具体的な事例を提示しつつ、「幸せってなに?」「信頼を得るために必要なものは?」「学校って必要?」などの身近なテーマに落とし込んでワークが行われます。

■これからのプロジェクトは、「地域ごと豊かに」を目指す

これまでの3年間で授業を受けたのは中学と高校を合わせてのべ450人以上。令和元年度には、千葉県教育委員会主催の「学びの「総合力・体験力」コンテスト」でも優秀賞となり、今ではいすみ市だけでなく、近隣の自治体でも授業が始まっています。

年々変化を遂げているプロジェクトですが、これからどうなっていくのでしょう? 磯木さんは、「声をかけてくださるところもあるのでそちらも考えつつ、まずは、生徒の企画アイデアを具現化していきたい」といいます。

毎年、授業の最後はまちに関する企画を考える時間があります。それまでの授業で身に付けた「自分自身で考える力」や「柔軟な視点」を実際に使って、地域を見つめなおすためです。すると、本当によい企画がいくつも生まれるのだそう。

“今後は、僕もそうなんですが、子どもがいない人に、子どもと関わる機会もつくれたらいいですよね。子どもがいなくても、学校や子どもの教育に関わりたい人や優れた職能を持っている人がたくさんいると思うんです。生徒にとって学びになる場所をつくりながら、そうした大人にも関わってもらえれば、地域ごとさらに豊かになっていくと思います。”

松山恵実