世界で最も財産を保有していることで名を知られている、アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスが日本円にして約1兆円の環境基金を投じたことを発表しました。

以下引用抜粋
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あの日、アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは、気候変動との闘いを根底から変えてしまったのかもしれない。世界で最も裕福な男ベゾスはInstagramへの2020年2月18日の投稿で、私財から100億ドル(約1兆830億円)を投じて「ベゾス・アースファンド」を新たに設立すると発表したのだ。
「科学者、活動家、NGOなど、地球環境の維持と保護に本当に役立つ可能性があるならどんな活動でも」支援するつもりだという。発表の内容は具体性に欠け、資金をどう使うかもまだ明らかにされていない。だが気候問題の専門家たちに言わせれば、温暖化の進む地球というこの星にとって、この莫大な資金が抵抗のチャンスを与えてくれるかもしれない。もちろん無駄遣いしなければ、の話である。

ブリュールは、気候変動対策の動きに反対する者たちの金の使い方についても研究している。その研究結果を見ると、ベゾスのアースファンドを大局的に捉えるうえで役に立つ。
ブリュールの調査によると、2000年から16年の間に電力会社、化石燃料会社、運輸関連企業が気候変動対策を妨害するロビー活動に使った金額は、合計で12億ドル(約1,295億円)以上にもなる。ブリュールがほかの研究者と共同で実施した調査によると、1986年から2015年にかけて石油やガスの世界最大手5社が、米国内での企業宣伝広告に少なくとも合計36億ドル(約3,885億円)を費やしたことも判明している。
この数字を見れば、大手の石油会社やガス会社が、首都ワシントンD.C.でどれだけの金額を費やしてきたか、おぼろげながらわかる。だがもうひとつ言えるのは、ベゾスならおそらく自分ひとりの懐からこの金額を何十年も出し続けられるだろうということだ。
もちろん肝心なのは金額ではなく、ベゾスが、あるいは彼の代理人たちが、金の使い道として何を選ぶかである。ベゾスはアマゾンのCEOとして、気候変動対策や環境問題に関する進歩的な企業方針を、必ずしも先頭に立って打ち出してきたとは言えない。アマゾンは、そのビジネス手法や透明性の欠如を、「グリーンピース」などの環境団体から長年にわたって批判されてきたからだ。
環境問題に取り組む国際NPOの「CDP」は19年、化石燃料業界を除くとアマゾンの炭素排出量が世界で突出しているとブルームバーグ・ニュースに語っている。ベゾスの下で働く従業員たちも、「Amazon Employees For Climate Justice(気候正義を求めるアマゾン従業員)」と称する数千人規模のグループを発足し、環境への多大な影響を軽減するためにさらなる対策を講じるよう、ストライキなどの行動を通して会社に強く訴えている。

こうしたことを考えるとベゾスの行動は、従業員たちをなだめるための抜け目ない動きにどうしても見えてしまう。あるいは、環境を害することで世界一の金持ちになってしまったことへの罪ほろぼしにも見える。
もっとも100億ドルを手放してもなお、彼は世界一の座にとどまることができるだろう。ベゾスはこれまで慈善事業に私財を寄付することはほとんどなかった。代わりに彼が選んだのは、自身が所有する宇宙開発企業のブルーオリジンなどの事業に資金を投じることだった。
ところが、資金を出すとたった一度だけ申し出ただけで、彼はたちまち慈善活動家の仲間入りを果たしてしまった。ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じてこれまで450億ドル(約4兆8,580億円)を超える寄付をしてきたビル・ゲイツなど、テクノロジー業界の大物たちと肩を並べることになったのだ。
もちろん慈善活動そのものは悪いことではないし、世界的な重要課題に対するベゾスの貢献は称賛に値する。とはいえ、金の力にものを言わせる億万長者たちの慈善活動は多くの反感を買ってきたし、その周辺には常に所得格差の問題がつきまとっていることは言うまでもない。
19年末の『WIRED』US版記事で数億ドルの寄付行為を紹介された、セールスフォースCEOのマーク・ベニオフもそのひとりだ。だが、ベニオフの全財産を合わせても、ベゾスがアースファンドの「立ち上げ」資金として投じた金額にさえ及ばない。
ひとりの男が一度金を出すだけで、数十年とは言わないまでも、これから数年間の気候変動との闘いがまったく別のかたちに変わってしまう。その男が支払う金額は、彼にとって個人財産の10分の1にもならないのだから、ぞっとするような話だ。

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